funfiction

レッスン・2

 ※神永とリピアー(人間体)のみ※リピアーが禍特対にジェンダー・セクシュアリティの本を紹介される話の続きです※独自設定多数※神永とリピアーはいっしょに暮らしてます※神永のプライベートでの一人称を暫定的に「俺」としています※キスと抱擁程度の性…

レッスン・1

※なんだかんだあってあの後現生地球人類体となったリピアー。※現生人類体リピアーの外見は男性ジェンダーということ以外、特に設定していません。神永の同位体でも誰の姿でもお好きなように考えてくださると嬉しいです。(男性のすがたをしているのは神永と…

Vermillion red

 地球に降り立ったウルトラマンの体色は変化した。濃い銀灰色のボディラインは赤に。彼人(かのひと)が現生地球人と融合したためだ。しかしそれを知るのは、この惑星ではウルトラマン自身と、肉体を共有する神永新二のみ。両者の記憶は混じり合い、互いに参…

alone in our castle

 ドラマタイタンズジェイディク。R18。※性描写そのものは軽度ですが、性暴力描写があります。性暴力によって関係を結ぶことに賛成する小説ではありません。  傷つけたい。ジェイソンのディックへの感情は振り子のように揺れて、ひとつ処に留…

宝石

二十面相は洞窟の通路に小さな人影を認めて、走り出しました。小柄な少年の姿は、二十面相の部下の誰にも似ておらず、小林君に違いありません。勇敢にも単身潜入してきた小林少年を捕らえ、牢に閉じこめていたはずですが、いつの間に脱出していたのでしょうか…

ごらん、心臓は此処

「アア、こんな日は駄目だ、」二十面相は自らの顔と肉体がドロリと溶けていく夢を見て寝椅子から飛び起きました。薄暗い部屋をヨロヨロと歩き、鏡の前に立ちます。自分の顔も思い出せないと嘯く変装の達人は、時折、悪夢に襲われることがあるのでした。「夜!…

レクイエムは遠く

晩夏の庭から、蝉の声が溢れる。竹中半兵衛は紙に汗が滴るのもかまわず、文机に向かう。半兵衛が書き留めているのは、葬送の記憶だった。半兵衛が元服を迎えたころ、美濃国守護代斎藤道三とその子高政の間で争いが起きた。半兵衛の初陣は、そのときである。半…

太陽は沈む

太陽のようだと思ったこともあった。昔のことだ。兄、斎藤高政が急死したという報せが帰蝶のもとに届いた。突然の訃報であった。五月、織田家の屋敷の庭はどこまでも明るい。萌黄はしたたるような緑へと移り変わりつつある。濡れ縁に座っているとまだ暖まりき…

剣呑

「御手杵の、槍」姫路城の宝物庫が開けられ、数人の男が階(きざはし)を昇ってくる。研ぎ師にしては人数が多い。掃除番にしては筋骨隆々としており、武士の中でも使える者のようだった。参勤交代か、と御手杵は思った。それにしては、少し早い気がする。「家…

もう誰も知らない話

かつて王国があった。王国には古い言い習わしがあった。王家に双子が生まれたならば凶兆、いずれ星は滅びるであろうと。しかし王国の民は争いを好まず、理知と慈しみを美徳としていた。因習は過去のものだった。だから嵐の日に生まれた王の子が双子だという報…

ささやかで、とめどないもの

トレギアの指がタイガに触れた。ホーンに伸ばされた指は、長い爪でタイガを傷つけないように慎重に移動する。あどけなさを残すタイガの目元をなぞり、トレギアは呟いた。「きみは、こういう顔をしていたんだな…」トレギアはタイガの輪郭を確かめるように、両…

天球儀に青いリボンを

トレギアは眼を覚ました。靄がかった視界がクリアになっていく。白い天井。消毒液の匂い。気温と湿度がコントロールされた室内。医務室か救護施設かなにかの寝台に横たえられているらしかった。「……?」トレギアは上半身を起こした。胸に凝った闇の気配があ…