地球に降り立ったウルトラマンの体色は変化した。濃い銀灰色のボディラインは赤に。彼人(かのひと)が現生地球人と融合したためだ。しかしそれを知るのは、この惑星ではウルトラマン自身と、肉体を共有する神永新二のみ。両者の記憶は混じり合い、互いに参照し合った。しかし、長命を有するウルトラマンの魂の質量に比べて神永の意識はちっぽけなものだった。神永はウルトラマンの眼を通してウルトラマンを眺めた。光そのもののような銀の体躯に走る筋は丹色に似ている。硫化水銀を主成分とする、バーミリオン・レッド。たんに色から連想しただけではない。融合はウルトラマンの力を激しく消耗が激させている。神永の意識体は、ふたつの手のひらを見下ろした。皮膚の向こうに血が巡っている。しかしこの血と生命は、彼人を縛るものではないのか。神永は許しを乞うように、手のひらで顔を覆う。神々しくうつくしい生命体の体色を構成していることが、くびきとなってしまったことが。
どうしようもなく。
(うれしい……)