ささやかで、とめどないもの

トレギアの指がタイガに触れた。ホーンに伸ばされた指は、長い爪でタイガを傷つけないように慎重に移動する。あどけなさを残すタイガの目元をなぞり、トレギアは呟いた。
「きみは、こういう顔をしていたんだな…」
トレギアはタイガの輪郭を確かめるように、両手での頬を包み、額を寄せた。
「うん。そうだよ。おれはずっとこういう顔」
タイガは自らもトレギアに額を寄せて、微笑む。
「もっと見ていいよ?」