※R-15
※直接的な性描写はありませんが、匂い程度に未成年の性的描写があります。
※神リピの「誕生」のメサトメサイドです。(神リピと書いていますがそちらも直接的な挿入・性表現はありません)
※メフィラス星人・光の星のヒトの生態について独自設定が多いです。
「われわれは卵生なんですよ」
メフィラスは告げた。言葉を受けているサトルはうとうとしている様子だったが、それでも、「うん…」という返事があった。
「敢えて地球の生物に喩えるならば、ベニクラゲが近いかもしれません」
「ベニクラゲは…図鑑で…見たことあるよ…」
とろとろと答えるサトルの夢の中では、無数の小さな海月が漂っているのかもしれないとメフィラスは思った。紺色の海に浮遊する、赤い核を取り囲むベル状の透明な傘と触手を有する、地球産の微生物。「不老不死なんだ」
「個々のベニクラゲは食物連鎖により捕食される可能性がかぎりなく高く、すべての個体が不死というわけではないが、地球人は、生物学上の不死と呼んでいるね」
メフィラスは朗々と話し続ける。
「メフィラス星人は老いるとメフィラス星に帰還し、数個の卵を生む。そこから幼生体が生まれ、幼生体が成長する」
「…メフィラスにも…お父さんや、…お母さんがいるの?」
「われわれに性別は存在しないよ、サトル君。
同じ個体が産卵した卵には、親が経験した情報がそれぞれ刻み込まれている。私たちはその生態により文明を他の星系の惑星よりも早く発展させることが可能だった」
いまいましいことだが、とメフィラスは言葉の通り複雑な感情を込めて、言葉を吐き出した。
「星に帰還した老体から数個の幼生体が発生し、情報が受け継がれる、論理的には不老不死に近い、という点で、われわれと光の星の住人は似ている。もっとも、彼人らは老体自身が巣となり、幼生体も巣ごとの差違がごく小さく、ほぼ並列化された存在となるまでに進化している……。いっぽうわれわれは卵生で、ベースとなる情報が同じでありながら、親子間でもきょうだい間でも個体差が存在している」
ウルトラマン? とは、サトルは訊かなかった。いよいよ睡魔に支配されかかっているらしい。ならば眠りを邪魔することもあるまい。地球人の幼生体には、睡眠と食事、適した環境が必要だ。メフィラスはジャケットを掛けてやる。サトルは首を傾げて、重たげな瞼の下で黒い眼でメフィラスを見つめていた。
「たまごって……メフィラスみたいに黒いの?」
「そうですね。地球人が呼ぶところの、外星人体の私に近いといえます。きみたちの眼には、おそらくそう見える」
「そう……」
サトルが手を伸ばしてきたので、メフィラスは身を寄せた。サトルはメフィラスの頭を自身の膝に載せるように抱き寄せる。メフィラスはされるがままに、膝枕をされるような格好になった。地球人の子どものあたたかい腹が後頭部に触れる。
「……ぼくがおまえを産んでやるよ」
サトルはその言葉をさいごに、寝息をたてはじめる。
サトルの睡魔に乗り移られたかのように、メフィラスもうっとりと眼を閉じる。